11月は管理釣り場オープンシーズンのピークを迎えます。各釣り場とも冬に向けて放流量を増やす時期で毎週大量放流が行われるなど、管理釣り場の関心が高まる時期です。そんな11月の管理釣り場の基本的な概要と釣り方についてまとめるページです。
11月の管理釣り場での特徴、知っておきたい事
気候が安定して晴れの日が多くなり釣りに出かけやすい日が多くなりますが、一方で雨が少なすぎると水の換水が悪くなり池の状態が悪くなりがちです。日本の秋の管理釣り場は放流量は一年で一番多い時期ですが、実は一年の中でも一番気難しい時期でもあるのです。
しかしこの気難しいニジマスを相手に、高いゲーム性を好む人たちが集まって「なんとかして１本を釣ってやろう！」と試行錯誤し続けて、次々に新しい形状のルアー・フライの開発や釣法のアップデートが行われいるのが管理釣り場の文化であり、この核心の部分でもあります。
トラウトフィッシングの醍醐味である大放流が行われる一方で、何故かそれでも難しさも併せ持つ…そんなもどかしさを存分に味わえるのが11月の管理釣り場の魅力なのです。
11月前半は秋の管理釣り場オープンのピーク。冬に向けて池の鱒を増やす時期
ポンド型の釣り場は早い所で9月下旬の秋分の日頃から徐々にシーズンオープンを迎えていましたが、昨今の夏の異常な暑さで池の水温が適正まで下がらない年が増えてきました。最近では無理をせず10月中旬頃からオープンする傾向が続いています。夏にクローズしていた池は冬に向けて水温と相談しながら鱒を増やしていく時期で、毎週のように放流が行われます。
また暑い時期は水が動く場所につく事が多かった魚も水温低下により池の溶存酸素量(DO)が安定し、池全体に鱒が散らばるようになります。
一方で成熟鱒の捕食行動は低下。また池の管理も難しい時期
近年日本では秋の短さが指摘されます。夏の猛暑が9月までひきずられる事で10月中もなかなか水温が下がりにくく、11月に入り水温が極端に下がっていく状況が毎年続いています。こういった水温が下がる傾斜角度が大きくなった事も鱒の負担になるとも言われています。
また成熟鱒は婚姻色が出始める時期です。スポーニング行動中は繁殖行動に夢中になり、鱒の食性が低下する事もあります。しかしこの時期の婚姻色が出ている大型鱒はまさに「虹」のような美しい色彩であり、思い出を残す写真を撮影するには良い時期です。またこの時期の大型鱒は抱卵する個体も混じり、魚卵が大好きな人にはたまらない時期。釣り難しさはあるものの、それに見合った価値もある時期です。
再現性は回遊頼み？
11月の管理釣り場は水温低下で鱒が池全体に散らばり、タナ（レンジ）がシビアになってきます。天候の変化、雲のかかり方で周囲が明るくなったり暗くなったりで刻々とレンジが変わり、ヒットパターンの再現が難しい時期です。ニジマスは群れを形成して回遊する習性もあります。こういった群れに遭遇した時は同じパターンの再現が見込めます。しかし日によって魚がぼんやり動かない時間は中だるみしやすい時期でもあり、放流時間頼みになる事もあるのがこのシーズンの難しい所です。
11月の管理釣り場。釣り場形態ごとの特徴
ポンドタイプ管理釣り場
ポンドタイプ：良い所
①晴れの日が多く釣りに出かけやすい日が多くなります。朝は肌寒い事もありますが日中太陽が昇ってからは上着を着ていると暑さを感じる時もあります。上着１枚分調整できる恰好での釣行が良いでしょう。気温の低下に伴い水温も低下しだします。川水、池水ともに水に溶け込む酸素の量である②溶存酸素量（DO）が上向くようになります。
ポンドタイプ：悪い所
晴れの日が多くなることで①換水が悪い状態になりやすく、池によっては水位が下がる事もあります。また気温の低下に伴い②ターンオーバーが起こりやすく池が濁りやすくなり視認性が悪くなります。
魚のレンジが徐々に下がり出し、中層～ボトム域の広範囲に虹鱒が分布するようになり、日々刻々と泳層が変化するので③レンジが絞りずらい状況が続きます。
また時期的にトラウト類の繁殖期で④ペアリングが始まるとあまりルアーを追わなくなってきます（特に婚姻色の出ている大型魚。小型魚の場合は大丈夫です）11月後半になると抱卵している魚を見る事もあります。
河川・渓流タイプ管理釣り場
気候が安定し、台風の影響をうけにくくなる11月上旬が河川冬季釣り場シーズンオープンのピークになります。
漁協管理河川のほとんどが禁漁期に入りますが、最近は一部漁協では冬季のキャッチアンドリリースを主体とした管理釣り場を行っている所も増えてきました。天候が安定し雨量が少なくなり浅く穏やかな平水が増えてきます。この時期の小渓流は水が澄んできますのでサイトフィッシングに向いた時期です。偏光グラスを用意して魚影を確認してからシビアなやりとりを楽しめます。
最近では河川や渓流であっても必ずしもウェーダーを必要としない釣り場づくりを行っている団体も増えてきました。そういう意味で冬季の河川釣り場への参加するハードルは下がりました。かといってスニーカーで行くと川原は歩きずらいので、アウトドアシューズなどを準備しての釣行が望ましいでしょう。
11月のプールフィッシングの特徴
11月上旬頃からプールフィッシングのシーズンが始まります。プールフィッシングは施設がコンパクトにまとまっている点が好評で、人気が定着しつつあります。会期はじめは水温もまだ高く小型鱒中心の放流になりますが、安定して水温が低下（15℃程度目安）すると大型魚が徐々に入り始めます。近年では差別化で大型のブランドサーモンを放流する運営団体も増えてきました。大型魚の中には抱卵する個体も混じる事があります。
開始直後のプールフィッシングは水の透明度も高く、魚のヒットの瞬間が目に見えるので「釣った感」をより一層感じる事が出来る時期です。足場がしっかりしているので普段の靴でも楽しめるのが特徴です。ただしプールサイドで水濡れしている場合があるので「滑りにくい靴」である事だけは注意しましょう。プールサイドは照り返しがあるので、晴れて無風の時は案外暑く感じる時があるので上着一枚調整できる恰好が良いでしょう。
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11月の管理釣り場攻略
秋の管理釣り場の難しい所は、まず最初にどのレンジに魚がいるかの見極めからはじまります。ひとつひとつ丹念に探っていくのがこの時期の釣りです。
巻き上げ
【スプーン】1.6g～1.8gの場合
まずやってみたいのがスプーンのボトムからの巻き上げです。
① キャスト後に10秒待ってからリールを巻き始めてみてください。
② 最初のひと巻き目だけはラインのと竿先をなるべく一直線にしたいのでいつもより速めに巻きます。
③ その後はリールを巻くスピードは1秒に1回転程度で手元までゆっくり巻きます。
④ あとは巻くスピードを若干遅くしてみたり、スプーンの色を替えてみたりの繰り返しです。
慣れてくるとラインスラック（糸の弛み）加減を見て底まで落ちた事が分かるようになってきますので、分かるようになったら、そこから巻き出しても大丈夫です。
レンジを刻む
上記の巻き上げはスプーンを一度沈ませきってからの巻き上げでしたが、レンジを刻む場合はスプーンを沈ませきらずに中層で巻き始める方法です。
【スプーン】1.6g～1.8gの場合
着水後、任意のカウント分フォールさせてから平行にスプーンを引きます。1.6g～1.8g前後のルアーで中層レンジを狙う場合は『カウント３』程度からはじめてみましょう。徐々にカウントを４、、、５、、、６、、、と刻んで落としていきます。アタリのあるカウントが今日のヒットレンジという事になりますので、その付近を重点的に探ってみましょう。その後は【巻き上げ】の②～④の内容を繰り返します。
アタリがシブくなってきた時はカラーチェンジを試してダメなようならサイズダウンをしていきます。今度は1.1g～1.5g前後に変えて、また『カウント３』程度から落としていきます。軽いスプーンは先ほどの1.6g～1.8gのスプーンより沈降速度は遅くなります。そして同じように繰り返していきます。
さらにシブいなと思ったら1.0g以下に下げて、同じように繰り返していきます。
ブログや雑誌記事などの読み方
（秒数）カウントで巻きだして、、、
着水後、（秒数）を数えてから、ラインスラックを取って巻き出すという意味です。
クランク
スプーンの反応が今ひとつだった場合、ルアーの種別をクランクにシフトさせます。この時期は深めを探れる「DR（ディープランナー）」系が主体です。
●●●（商品名）●●●DR など商品パッケージ末尾にDRとついているものが良いでしょう。
ディープクランクは最初の早巻きで潜る量を決め、そこからはゆっくり巻く事で上記のスプーンのようなレンジの刻みを繰り返していきます。エリアトラウトではこの最初の潜る量を「グリ」と呼んでいます。『３グリ』だったら３回転早巻きしてからゆっくり巻き出しという事です。商品によって潜る量が変わりますので「●●●３グリ」と、そのクランク＋グリ量で言ったりします。
初心者が行く＆初心者を連れていくなら、、、
出来れば水の透明度が高い、魚の追いが見えるクリアポンドをオススメします。魚の追いが目で見て分かれば初心者でも次にどう変化させれば良いか。アイデアのきっかけになります。秋から翌春の典型的なマッディ池の中の魚の動きを想像するにはまだ経験が少なく、釣れない時間に手詰まりを感じてしまいがちです。下記の「11月の管理釣り場攻略」が難しいと思ったら、クリアポンドへの釣行をオススメします。
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用品
リールに巻くラインは？
初心者のうちは扱い易いナイロンラインでも十分です（主にどの釣り場でもレンタルタックルに採用されている普及品）が、ナイロンラインの特徴として「沈みが遅い」という点だけは覚えておいてください。
総合的には感度の良いエステルラインが良い時期ですが、タックル全体のバランスを整える必要があります。竿は小径ガイド（ラインを通すガイドの穴が小さい物）が良い。近年では型番の末尾が「-e」などエステルライン対応の竿もあります。リールは2000番が無難（1000番などスプール径が小さすぎると扱いが難しくなる場合もあります）。分からない時は釣具店などで相談すると良いでしょう。
11月の管理釣り場に着ていく服は？
11月は１日の寒暖差が大きい時期です。山間地帯の朝の日陰は寒い一方で、晴れた日の日中は暑さを感じる。それでいて日陰に入ると思っているよりも寒く感じるし、山からの吹きおろしで水面を伝ってくる風は冷たさを増す。また雨の日は少ないものの雨が降った途端に寒くなる。「防風」「防水」「防寒」の組み合わせを考えて、１枚調整できる恰好が望ましいでしょう。また管理釣り場の釣りは立ったりしゃがんだりする場面が多いので多少「ストレッチ性」があった服装が良いでしょう。
まとめ
シーズンオープン後。晴れる日が増えて風の影響も少ないという気象的に恵まれた日が多く、11月は人間にとっては釣りに出かけたいなと思う日が多くなる月です。一方で魚の活性は下降気味。反応がシブい時間もでてくる時期です。人出は多いが釣りの難易度は高め。その釣り場の釣り方を知っていないと上級者でもすぐに釣れないのが11月のエリアフィッシングです。周囲で釣っている人をよく観察して、どう釣っているのか？どの種類のルアーを使っているのか、どのくらい沈めているのかをチェックするのも「釣り」のうちです。
